闘魂伝承
- ゴブルジム・スタッフ
- 5月23日
- 読了時間: 2分
更新日:6月11日
ジムには、ヒロム君という高校生がいます。
小学生の頃に空手を経験し、今もまじめに練習へ取り組む姿勢は、一貫して変わりません。
初めてミットを持ったときから、彼には明らかに「資質」があると感じていました。
そして、ゴブルジムにとって初となる試合。
記念すべきその舞台に、自らの意志で名乗りを上げてくれたのが、当時高校1年生・16歳だったヒロム君です。
ジムに通い始めてからわずか半年ほどしか経っていなかったこともあり、
正直、不安がなかったわけではありません。
しかし彼は、その心配を跳ね除けるかのように、堂々と戦い抜き、見事に判定勝利を収めました。
けれど、私が彼を本当に「凄い」と思ったのは、試合の内容ではなく、その後の姿でした。
普通なら初勝利は素直に嬉しいもの。
私のような凡人感覚では、初めてのリングで勝利を収めれば、笑顔が溢れて当然だと思ってしまいます。
ところが彼は、がっくりと肩を落とし、まるで負けたかのような表情でリングを降りてきました。
理由を尋ねると、「自分の力を出し切れなかった。KOで勝ちたかった。納得いかなかった」と。
――この言葉に、私は衝撃を受けました。
16歳にして、そこまで自分に対して厳しく、明確な理想像を持ち、勝利すら悔しがるとは。
まさに“末恐ろしい”という表現がぴったりでした。
それ以降、彼は試合には出ていませんが、
学業と両立しながら可能な限りジムにも足を運び、練習に励んでくれています。
私の中にはずっと「ヒロム君なら、もっともっと出来るはずだ」という思いがありました。
まさに、“眠れる龍”のような存在です。
ところが最近、ジムに変化の兆しがありました。
打撃コーチの大日向氏が、マススパーで彼とボディの打ち合いをしてくれたのです。
その時、ヒロム君の目に――確かに“炎”が宿ったように見えました。
「これだよ、これ!ハンバーグだよ!」と心の中で叫んでしまったほどです。
きっと、コーチが“ストロングスタイル”で真正面から向き合ったことで、彼のスイッチが入ったのだと思います。
コーチとは、ただ技術を教えるだけでなく、選手の心に火を灯す存在であるべき。
まるで『キン肉マン』のロビンマスクとウォーズマンのような、熱い師弟関係を感じました。
ヒロム君の中に眠る本当の力が、これからどのように目覚めていくのか――その時を楽しみにしています。
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